#hayanoquiz に回答してみました

【理系学生必修】今,半減期8日のI-131原子核が10000個あったとします.8日後に何個残っているか答えなさい.最初の数が2個の場合はどうでしょう?

【回答】
半減期8日のI-131原子核1個が8日後に残っている確率は1/2。よって、10000個のI-131原子核があれば、N個残っている確率はc(N,10000)/2^10000となる。(c(N,10000)の表記があってるかどうか怪しいです…)
最初の数が2個であるならば、2個残っている確率が25%,1個残っている確率が50%,一つも残っていない確率が25%

【物理学生必修】ヨウ素(I-131)が検出されたと報じられています.I-131であることを確認する原理を,100字以内で述べよ.

【回答】
I-131はβ線またはγ線を出して崩壊する。
β線は連続的なエネルギー分布となるため、核種の同定には向かない。そのため、I-131には単一エネルギーのγ線を測定する。

【物理大学院生必修】I-131を検出するのに必要な測定器と,その測定原理について述べよ

【回答】
一般的にγ線のエネルギー測定にはCsIシンチレーター、NaIシンチレーター、Ge半導体検出器などを用いる。
核種が分からない場合、発生するエネルギーの精密な測定を必要とするため、Ge半導体検出器が最適である。
測定原理については、Ge半導体中を通過するγ線がGe結晶から電子を電離する。電離した電子の電荷量をから電離された電子の数を測定し、電子一個を電離するために必要なエネルギーを乗じてγ線のエネルギーを測定する。


【物理大学院生選択問題】I-131が出す放射線の種類をすべて述べよ.I-131であることが確認できる放射線の種類とそのエネルギーを述べよ.

I-131が出す放射線β線及びγ線。また、I-131そのものではないが、I-131からβ崩壊した後の娘核Xeがα線を放出する。
I-131を同定する場合、β線は連続的なエネルギー分布となり、核種の同定には向かないため、単一エネルギーのγ線を測定する。最適なものは最も多く放出される0.365MeVのγ線。測定時は試料を置いた場合の測定結果から、試料を置かない場合のバックグラウンドのスペクトルを差し引き、0.365MeVのγ線が試料中に存在することを確認する。なお、測定原理は前項【物理大学院生必修】に述べたが、実際の測定の場合はエネルギーの判明している線源を用いてキャリブレーションを行う。

【医療従事者必修】I-131の体内被曝が懸念されています.平常時,日本人の体の中に,放射性物質がどのくらいあり,それによる体内被曝量はどのくらいか,即答してください

【回答】
日本人の体を構成する物質で放射線を持つ主なものはK-40。成人で約200gのカリウムが体内に存在し、うち放射性のものは0.012%。他にC-14、U系列、Th系列の同位体等が体内に存在し、年間の体内被曝量は0.8mSv/年程度。

【医療従事者必修】報じられている「1キログラム当たり1万5020ベクレル」とは,何をあらわす単位か,即答してください.

【回答】
試料1kgあたり、1秒間に15020個の放射線を出す核種が存在しているということ。

【医学部学生選択問題】「放射性ヨウ素が1キログラム当たり1万5020ベクレル」と「放射性セシウムも524ベクレル」という報道があります.ヨウ素セシウムの違いにも触れ,健康への影響の有無を適確に説明しなさい.

【回答】
Cs-137、ヨウ素(混合物の場合は代表核種I-131)等の代表的核種において、吸入、経口の場合のALI(annual limits of intake)が法律で定められている。所定の摂取量における実効線量当量=実効線量当量の年限度x摂取量/ALIなので、1日に当該ホウレン草を100g摂取し、放射性ヨウ素がすべてI-131であるとし仮定して年間の実効線量当量は、上式で計算できる。(I-131、Cs-137の経口摂取によるALIの値が時間内に見つからなかったので計算結果はパス)

【地球物理学生必修】天然放射線による被曝量が,その人が住んでいる地域によって異なる理由を,簡潔に答えなさい.

【回答】
天然放射線のうち、宇宙放射線によるものは地磁気の影響を受けるため場所によって異なり、一般に高緯度ほど線量が多いが、地磁気特異点があるため、南米のある地域では特に線量が多い。また、宇宙放射線は大気中で反応して放射線のシャワーを形成し、標高(または海抜高度)3000m〜5000m付近にシャワーマキシマムを持つため、標高にも関係する。体内被曝については摂取する食物に含まれる放射能、大気中のラドンなどで被爆するため、土質や水質が関係する。

【理系学学部生必修】半減期Tの放射性物質の個数Nの時間変化N(t)をあらわす微分方程式を即答せよ.

【回答】
N(t)=N・e^(λt)=N・(1/2)^(t/T),T=ln2/λ=0.693/λ。λは崩壊定数、Tは半減期

【理系院生選択】放射性物質の崩壊とPoisson分布の関係について簡潔に述べよ.

【回答】
半減期による減衰が無視できるほどに長い場合、原子核の壊変はランダムに発生する事象として考えることができ、このばらつきはPoisson分布で表現される。

【医療従事者選択】体内被曝が疑われる方があったとします.体内被曝の有無と,その程度を判定するにはどうすればよいでしょう.

【回答】
排泄物中の放射性物質の分析から放射性核種ごとに排泄率関数を用いて間接的に身体負荷量を求めるバイオアッセイ法を用いる。

【理系学生選択】測定値15020 Bq/kg などと報じられていますが,同じサンプルを,その直後にもう一度測定するとどうなると考えられるか,簡潔に記しなさい.

【回答】
総計数Nの標準偏差σは√Nであるため、σ=√15020=122.55程度の誤差を持つと推定される。

【理系学生必修】報道やWebで使われている単位, Sv, Sv/h, Gy, Gy/h, Bq, Bq/kgについて,簡潔に説明してください.

【回答】
Sv:線量当量の単位。線量当量Hは吸収線量(単位Gy)をD、放射線加重係数をwとして、H=wDであらわされる。wは線エネルギー付与LETや、生物効果比のなどの値に基づき決められる。
Sv/h:一時間当たりの線量当量
Gy:物質1kgあたり1Jのエネルギー吸収がある時の吸収線量を1Gyとする
Gy/h:一時間当たりの吸収線量
Bq:一秒間あたり1個の原子核壊変がある放射能の量を1Bqとする
Bq/kg:物質1kgあたり、一秒間に1個の原子核壊変がある放射能の量を1Bq/kgとする

【医療関係者必修】I-131,なぜ牛乳なのか.牛肉はどうか.即答してください.

【回答】
牛乳は毎日摂取する食物であり、牧草を食べた牛の体内でヨウ素が濃縮され、速やかに排出されるため、放射性ヨウ素の影響が速やかに出て、物理的半減期による減衰があまり期待できないため。牛肉には比較的ヨウ素が蓄積しにくいこと、牛がヨウ素を摂取してから人間に食物として摂取されるまでの時間の期待値が長いため、物理的半減期による減衰が期待できるので、現時点で牛乳より影響度が低いと考えられる。